My-yuki Project
1998年 5月25日作成
第5話「そして、逃亡」
わたし、いっしょーけんめいだんボールをほった。
どっかにあながあけば、そとに出られる。
(ねー、おねーちゃーん、なにやってるの?)
つよしがおまぬけなかおしてよってきた。
(あ、いいところにきたわね、つよし。
あのね、これ、あたらしいあそびなの。
いっぱいほって、はやくあなをあけたほうがかちなの。
あながあいたら、そこにもぐれるのよ。)
(えっ!もぐれるのー?
わー、すごいなー。
おねーちゃんはどれくらいほったの?)
(これくらいだよ。
つよしもがんばろうね。)
(うん!)
ふっ。
こうしとけば、あとはつよしがほってくれるわね。
で、わたしはそのあなからそとにでる、と。
せまいケースなんてまっぴら。
こんなにんげんたちとくらすのもまっぴら。
そとにでて、オスのハムスターを見つけて、ひまわりがいっぱいはえてるところで、たのしくくらすのよ!!
(注:こういちは、ひまわりの種が、地面からにょきにょき生えているものと思っている。)
「ねえ、つよしが一生懸命段ボールを掘ってるよ?」
1ばん小さい子、えっと、「よしえ」とかいったっけ、が、つよしを見ている。
ああ、どうぞ、おかまいなく。
にげようなんておもってないから、さっさとケースをかたづけてよ。
「あら、本当。」
「逃げられたら大変だね。」
ぎくっ。
ぎくぎくぎく。
にげないわよー、にげない、から、なんにもしないでっ。
ほっといてーっ!
「ガムテープ貼っとけば。」
だっ、だめーっ!!
わたしのかれいなだっ出けいかくがーっ!!
「ここに貼っていい?」
だめーっ!!
ぺたん。
むじょうにも、わたしのけいかくは、つゆときえた。
(あ…あ……。)
あまりのことに、わたしはそのばに立ちすくんでしまった。
(?
おねーちゃん?)
つよしがしんぱいしてよってきたみたいだけど、あんまよくわかんない。
ぼーぜんじしつ。
「なんか、こうちゃん元気ないね。」
あんたのせいよ!!
よけーなこというから!!
(おねーちゃん、あそびおもしろかったねー。)
(おもしろくないわよ!)
わたしはおもわずあたまにきて、つよしのおなかをかんだ。
「あっ、あっ、けんかしてる!
だめ、光一、やめなさい!!」
わたしとつよしはひきはなされた。
むんずとつかまれたしゅんかん、その手をかんで、わたしはまたなげとばされた。
チッ、と小さくないて、わたしはいかくした。
かんだのは、「おかーさん」の手だったらしい。
ちょっとわるかったかなっておもったけど、なげられたからあやまらない。
「もー、遊び道具がないから、こうちゃん怒ってるんじゃない?」
と、「ゆきえ」がいった。
ちがうわよっ。
「なんかおもちゃ入れてあげたら?」
まん中の女の子、「ちえ」っていったかな、その子が、おもちゃのオレンジのボールを入れてくれた。
プラスチックってやつでできてて、ちょっとふにふにしてるの。
でも、こんなのもらってもお…。
ちょっけい1ハムスターくらいのちょっと大きなボール。
だんボールのはこのたかさが1.5ハムスターくらいだから、のぼるとまわりがぜーんぶ見わたせる。
でも、こんなのねえ…。
あれ?
もーちょっとせのびしたら、はこのふちに手がとどく。
いま、だれも見てないわよね?
よいしょっ。
んしょんしょんしょ。
………………………
…そしてわたしは、「とうぼう」した。
つづく。
第6話「初めての、まだ小さな、逃亡」
あまりに過酷な運命が彼女を襲う!
そして「とうぼう」の行方は?
"My-yuki Project" Produced by Yukie Kanda.