My-yuki Project

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1999年 7月 5日作成

「なぜ私はここにいるのだろう」
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 駅には、あまり人がいなかった。私はすぐに灰色の公衆電話に滑り込むことができた。助けてほしい。助けてほしい。誰か、誰でもいいから助けてほしい。一言の言葉でもいい。そこから抜け出すきっかけになるのなら――。
 慣れた手付きで番号を押した。
「もしもし…」
 電話はすぐにつながった。他愛の無い話をした。妹の話や試験の話。抜け出すきっかけがほしい。そう思った。しかし、私の言葉は、何か上滑りをしている、と感じた。彼が悩んでいるのはわかっていた。しかし、助けを求めた私の電話が、いつの間にか「悩んでいる相手を元気づけようと、無理矢理かき集めた『明るい』話」にすり替わっていた、という事に気付いたのは、しばらくしてからだった。
 すでに、彼の前だけでは泣いていた。これ以上迷惑はかけられない。
「誰か助けてくれませんかねえ…」
 それでもぽつりと言ってみた。それは誰にもどうにもできないことだ、という答えが返ってきた。
 駄目だと思った。これは私を助ける電話じゃない。彼を助ける電話だ。彼を何とか助けなければ…。しかし、私には方法が無かった。なぐさめの言葉も何もかも、全く意味を成さなかった。無理矢理明るくふるまったが、かえって呆れさせてしまったようだった。
 どうしたらいいんだろう。私にはわからなかった。誰も私を助けてくれなかった。それどころか、私は誰も「助けてあげる」ことができない。無力だ。好きな人と電話がつながっているのに、何もできはしない。かえって彼を悩ませている。ため息をつく度、そのため息は、電話回線を通って、再び私のもとへ重苦しい空気となって戻ってくる。
「こんな悩んでばかりの奴、見捨てちゃっていいから…」
という声が受話器から流れてきた。自分は本当に無力だと思った。
 電話が切れた。0度になったテレカがけたたましい音と共に勝手に出てきた。105度のテレカが、二日で無くなってしまった。月が変わって1週間もしないうちに、小遣いの半分はテレカに変わった。電話は嫌い。いつもあの人に悲しそうな声をさせる。
 テレカはつなぎそうでつながないものだと思った。

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