My-yuki Project
1999年 7月 5日作成
「なぜ私はここにいるのだろう」
| 3 眠ることは好きだ。「眠り」は満たしてくれるものだ。しかし、昼間の眠りは、目覚めに空虚をもたらす。服をぐっしょりと汗で濡らして、寝ぼけた頭で周囲を見まわす夏の午後。気持ち悪さと暑さだけが、べっとりと全身にまとわりついてくる。ふと目が覚めると、もう窓の外側も内側も薄暗い黒と灰色に染まって、時間から取り残されてしまった感覚におちいる冬の夕方。 目覚めの代償が大きくても、それでもあらがえずに眠りにおちていく。自律神経失調症により、毎日頭痛や腹痛、めまいなどの症状が、次から次へとやって来る。 ――でもこれは、自分への言い訳なのかもしれない、とも思う。体さえ悪ければ、勉強しなくてもいい。何もしなくても。 現実には、ただなまけているだけなんだろう。私が眠っている間に、他の人は勉強して大学に受かり。そして私は落ちるのだ。そう考えて、何とか起き上がろうとするが、他覚症状が無くても、「現実に」自覚症状がある。 どうしたらいいんだろう。 教師も、家族も体も、私を取り巻く全ての状況が、私を苦しめているように思えた。誰も助けてくれない。――私も誰かを助けた覚えはないのだから、当然なのだけれど。 目覚めると、妹が帰っていた。彼女は「感情」だ。自分の思い通りに世界が動かないと我慢ができない。妹は何か怒っていた。 試験中で早く帰ってきた妹(更に私のほうが一時間早かったのだが)は、昼食が自分の欲しかったものではないと怒っていた。父が仕事の都合で家にいた事にも腹を立てていたし、試験が全然できなかったと言って、またふてくされていた。 いつものことだ、と思った。一日やり過ごせば、怒りもおさまるだろう。 彼女はチョコレートが食べたい、と言った。新しく買ったらしいCDを聴くために、私の机からCDラジカセを持っていった。私が荷物を散らかしておいた事にも機嫌を悪くして、何も言わずに私の荷物を蹴とばした。 いつものことだ、と思った。しかし、今日の精神状態では耐えられない――。 学校も、家も、もはや安らぎの場ではない。常に私を圧迫し続ける。 私は自転車の鍵を握りしめた。 私には希望がある。それは、チョコレートだ。 |
"My-yuki Project" Produced by Yukie Kanda.